携帯のサイトでのBBSにも少し報告したんだけど、一応キチンとした形でここにもレポートをておきます。

このイベントは、オルガン・バーでスタートしてかれこれ丸まる2年以上も経過してます。最初は音楽評論家仲間でDJもやっている「組長」こと、山名昇くんと二人で始めて、その後はDr.IHARAも参加し、トークの後にDJもやるというオールナイトのものだったけど、今では二人とも辞めて、ほぼ自分ひとりによるトークライブというか、まぁ、分かりやすく言うなら、ラジオの公開収録みたいな感じ。

 

 時間帯も今回から午後9時半からとなり、11時までには終了します。その後は、Katchin'やSgroove,MDYらによるクロスオーバーなDJイベント「JUNGLE GYM」がそのまま開催されるというシステム。料金の追加などはありません。

  

 さて、今回のテーマは前回同様、自分がチョイスしたレコード(CD)を椅子に座ったリスナーを前にして聴いてもらい、時折、懐かしいロックの映像なども見て、音楽解説など、思い出を交えながら、まぁ、かなりテキトーにおしゃべりするというもの。堅く考えると「ロック講座」だけど、感覚的には、大貫のロック話しをレコードや映像交えて、その場で体験してもらう会、かな。

 

 今回メインで紹介したレコードはまず、今でも現役、来日もしたイギリスのオルガン・プレイヤー、ブライアン・オーガーが活動の初期に残したTHE TRINITY時代の代表作とされる2枚組『STREET NOISE』。もちろん、女性ボーカルで未だに人気の高いジュリー・ドリスコールもフィーチャーされており、彼女の存在がこの作品の評価の一角を占めていることは明らかだろう。

 ジャズから音楽シーンに飛び込んだ彼にとって、この時期はロックとジャズとの狭間で楽しい試行錯誤を行なった貴重な時間でもあったに違いない。フロアで人気のリッチー・ヘイブンスのカバー「Indian RopeMan」や多くのカバーがあるドアーズの「ハートに火をつけて」、マイルス・デイヴィスのカバー「All Blues」など数曲の優れたカバーも含め、実に自由自在におおらかなロック・フィールを感じさせる聴き応えある全16曲。CDはWHDから紙ジャケ・シリーズとしてほぼ彼らの全部の作品がリイシューされている。レコードはATOCO SD 2-701

 

2枚目はアメリカの先住民の血を引くロック・ギタリストとして、あの当時話題になり、もちろん今でも多くのファンを持つ故ジェシ・デイヴィスの、72年のセカンド『ULULU』(east west japan AMCY-2584)。ぼくのレコードは、オヤジが庭に作った物置きに段ボールに入れてしまっていたのが、屋根の付け方を間違えたために、隙間が出来て、そこから雨が入り、さらに悪いことに、シロアリくんの巣になってしまい、気がついた時にはすでに、数千枚のアルバムがアウト!このジェシのレコードは運よくジャケの一部のみの被害ですんだもの。

 

 そんな体験談も交えて、いかにジェシという男が、その朴訥だが、スキルも確かで音楽性の豊かなミュージシャンであったか、などを話してその曲を聴いた。レオン・ラッセルの書いた「アルカトラズ」(アルバムにはデビュー作にあたる前作同様、多くの彼の支持者らがサポートで参加している。当のレオンはじめドクター・ジョン、ジム・ケルトナー、ドナルド・ダック・ダン・・など、主にレオン周りのミュージシャンたちが多数。ダル&レイジーなジェシのスライド・ギターと味わい深い歌声はいつだってぼくをホコリっぽいアメリカの大地に誘う。

 

 3枚目に選んだのはイギリスの60年代から70年代にかけてのサイケデリアなロンドン西部から生まれた、不気味でアシッドでプログレ的でもあったならず者アート・ロック集団みたいなバンド、ホークウインドの72年の3枚目にあたる『ドレミファソラシド』(東芝音工 LLP-80700)だ。これはこのぼく自身が解説、ライナーノーツを担当している。72年の12月1日と記入してあるから、評論家の仕事を始めて、まだ2年ほどしかたっていない(大学2年だね)頃、21才という若い頃に書いた長い文章が載っている。

 会場では、そういう時代の自分のことや、時代の様子とかいろいろと話が膨らんで、時間がいつも足りなくなる。この時もそうで、従って、このホークウインドも、曲が長いこともあるけど、シングル・ヒットした「シルバーマシーン」しか紹介出来なかったのが残念。この解説にも書いたように、彼らの音楽には、ある種のコミューン思想めいた、独自のユートピアを目指す、というような意図が感じられ、それと独自のシンセや電子音を多用したシュールなサウンドがマッチして、さらには、全身にボディペイントした女性ダンサーがいたり、サイケなライトショーをおこなったり、とにかく、フツーじゃなかった。このバンドのベースとして世に出たのが、その後MOTORHEADで一躍名を馳せるレミーその人だった。そして、イギリスでぼくは彼らのショウを見てレミーほかメンバーとも会っている。

 

 こういうような、一般には「マニアック」と言われそうなバンドやアーティストなどにもスポットを当て、いろいろなロックの有り様を模索するのも、ロック探求の大きな楽しみ。お客さんも少ないながら、毎回来てくれる「常連」みたいな人もいたりして、そんな人たちと終了後に音楽談義をしばし行なうのも、また楽しい。ほかのDJイベントでは中々そうはいかないからね。

 

 みんな、熱心で勉強家で、メモしながら話を聞いている人もいる。そういうのもアリ、です。でも、全部正しいこと喋っているわけじゃないから鵜呑みにはしないで下さい!(苦笑)

 

 次回もまた似たような企画でやります。リクエストされたのでスティブン・スティルスのバンドMANASSASとか、そのつながりでCSN&Yとか、ホンの一部しか見てもらえなかった、ジョージ・ハリスンが企画主催したチャリティ・コンサートの草分け『バングラ・デシュ救済コンサート』の映像なんかも見たいですね。アレ、ジェシ・デイヴィスも出てましたよねって、お客さんから指摘されました。その通り、エリック・クラプトンらと共に出てます。

 

 では、また9月24日水曜日に、オルガン・バーで会いましょう。 大貫憲章/KENSHO ONUKI

THE TRINITY 『STREET NOISE』
『STREET NOISE』ジャケットインナー
ジェシ・デイヴィス 『ULULU』
ホークウインド 『ドレミファソラシド』